テレビ番組雑感「ゼロの真実」「難聴のエースと野球部 サインが結ぶ最後の夏」「狂気の戦場 ペリリュー島」

今夜見た「ゼロの真実」はおもしろかった。初めて見たが第4話だった。武井咲という女優にやっと存在感を感じた。脇役も達者な人ばかり。木野花はなんとうまいのだろう。最後は「羊たちの沈黙」をパクっているような。

 

8時からのEテレ、ハートネットTV、「難聴のエースと野球部 サインが結ぶ最後の夏」は、泣いてしまった。顧問の先生がよい。寮の部屋も同じ部員の友情。あの指文字。「指示を待ってるばかりやんか。お前から聞きにいかな。」

 

昨夜のNHKスペシャル「狂気の戦場 ペリリュー島」。こういう戦いが1944年にあったということをはじめて知った。子どもの使っていた世界地図帳を見たがペリリュー島は載っていなかった。パラオ諸島の一つ。アメリカがフィリピンのレイテ島に侵攻する際に足がかりとしてここをまず制圧するため精鋭の第一海兵師団を送り込む。小さな島だし三日もあれば片がつくと師団長は豪語した。日本の戦略がバンザイ攻撃から長期決戦に変わった最初の戦い。そして送り込まれた日本の兵隊も精鋭の関東軍の最強、第14師団。制圧に72日かかった。日本側は1万人がたったの34人しか生存者はいなかった。その生存者がこう言った。せまい箱の中に入れられたサソリを2匹の死闘。あまりの悲惨さに日米とも戦後、この戦いについて語られることは避けてこられた。3日で片がつく戦い、米軍の圧倒的な勝利が予想されるからカメラマンに記録させ、戦意高揚映画に活用しようと海兵団所属のカメラマン16人が派遣されたのだった。その記録のフィルムが十数巻、残されていたのである。その映像が映し出す悲惨。言葉を失った。あまりの過酷な戦いに双方、精神に変調を来す兵が続出した。70年を過ぎて、その生存者たちは90歳を越えている。彼らに生のインタビューができるタイムリミットぎりぎりで作られたドキュメンタリーだ。アメリカの生存者が言った。島は死体で埋まった。死体はあの暑さの中で倍にふくれあがり、たかるハエで真っ黒になった。その臭いの凄まじいこと。塹壕を掘って抗戦する日本の粘り強い戦いに業を煮やし、終盤になって、火炎放射器等の重火器が投入される。その威力。火炎が100メートル、塹壕に向けて飛ぶのだ。映像のとてつもない情報量。戦意を失って降参している日本兵まで撃ち殺しているところを撮った映像。精神に変調を来した兵隊を撮った映像。味方へのみせしめのために殺されたのであろう、塹壕の前でころがっている、手足をひもでくくられ、首を切られた日本兵の映像。どれもこれもうちのめされる映像だった。吐き気がしそうだった。