灰形
この4月から灰形の講習会に参加させていただいている。
講師は80歳を目前にされた大ベテランの先生である。
先輩の方達が「昨日の灰形の勉強会でね、---」と言われたりするのを小耳に挟みながらいつか私も灰形の勉強をしたいものだという思いを胸に秘めてきた。
4月に先生が「私が行っている講習会に参加してみる?」と声をかけてくださった。
先日、3回目があった。つくづく思うことはとにかく回数をこなすこと。
後発の私は月1の講習会で事足りるわけはなく、自宅でもやってみることにしたが、灰をつくることから始めなくてはならなかった。講習会では幸せなことに灰の入った風炉が用意され、その前に座って灰づもりからやっていけばいいのだが、自宅の灰は目の大きな篩で濾しただけで灰汁もぬけていない未完成の灰。滑りが悪く、落ち着かない。
今日から発奮して灰つくりに取り組むことにした。
まず水で洗うことから始める。
三回目の茶事---感無量
5月2日、我が家での3回目の茶事をすることができました。お客様は2名。稽古茶事ですがそれなりにきちんとトライしました。
透き木釜の扱いを復習したかったので、炉にし、五徳を取りました。
蹲は玄関脇にセット。
腰掛け待合は玄関を活用。莨盆は省略。
待合は、松村景文の亀と笹の絵。
もう一カ所、寄り付きには、
大田垣蓮月の歌を。
万世(まんせい)も堪(た)えぬなかれど湿(しめ)つらん その亀の尾の山の下水(したみず)
本床は妙心寺逸外和尚の墨跡です。
後座の花。
庭の花で間に合ったのも感無量。
自分のこの3年の歩みが現れていると思えたのが収穫です。
料理は一人でてんやわんやなので写真は今回も撮れませんでした。次回はお客様にお願いしようと思いました。
献立は
汁:白玉団子 溶き辛子
向付:ほたて貝柱、よこわまぐろ、アボカド、サラダセロリ、ミョウガ、ラディッシュの和え物
煮物椀:鯛の道明寺蒸し メレンソウ 柚皮(ゆずがなくて晩成柑の皮を代用)
焼き物:もろみ鶏
預け鉢:サワラの子 飛竜頭 ホウレンソウ
小吸い物:ミョウガ
八寸:ソラマメ アサリの佃煮
香の物:大根 赤カブ 奈良漬
主菓子:金団
干菓子:花兎 抹茶ファッジ(抹茶が重なるのですが、whitewitchさんが送ってくださったのを使いたかったのです)
景文、蓮月は昨年度の臨時講師の収入で購入しました。他は大部分が義姉のお道具です。義姉あっての茶事です。
思えば、遠くに来たものだ----感無量。
広がる茶友
日曜日の夜に気づいたメール、お茶会のご招待。男性Iさんから。
私の先生と一緒にとのこと。月曜のお稽古で先生に告げ、もう一人の友人も誘って3人で午後訪ねることに。
かかる時間をなめていて、遅刻。。。
約束の時間を10分遅れる。
楽しかった。4年前に停年を迎え、実母の介護に実家に単身やってくる。家族は離れて暮らす。近くで陶芸を教えているところがあることを知って通う。その一ヶ月後、茶碗をつくるのだから、お茶も習おうと通い始め、4年が経つ。
玄関を入ると作品の展示場。茶碗、茶入れ、香合、水差、菓子器が50点近く。全部、ご自分の作品。そこが待合にもなっている。
腰掛け待合へ。ついで蹲へ。そして茶室へ。
6畳に炉が切ってある。大阿弥陀堂釜にしゅんしゅんと湯がたぎっている。
床には黒田官兵衛菩提を弔う大徳寺龍光院の事実上の開祖江月宗玩の消息文の軸がかかる。僧侶を茶会に誘っている。
諸荘り。花はツバキ、花入れは竹。香合は信楽ふうに焼いた四角い合子。
菓子鉢が運ばれる。なんと今日、伺いますという連絡を聞いてから作ったというご自製。柚餅。いつもはこんな急ではないので、アズキを水につけるところから始めるので2日は要るとのこと。今回、さすがに間に合わず、時期ではないけれど柚餅になったと説明があった。
薄茶の平点前が粛々と始まる。
この清々しさは何だろう。爽やかさは何だろう。
市中の山居という言葉が重みを持って私の心に立ち上がってくる。
我々は28回目の茶会の客とのこと。
とても啓発された。次回お声がけを期待しておいとまする。
深謝
先日の講習会で私は台子の薄茶点前をさせていただいた。
この講習会で初めての経験。
先生が何度もお稽古をつけてくださり、やっと迎えた本番。
緊張したが、無事終了。むろん講習会なのでいろいろ業躰の先生からご指導をいただく。直に業躰からご指導をいただける幸せをまず心に思うと途中から緊張がなくなっていき、専心することが出来た。
終わってほっとしていると内心とても尊敬している年下だが茶歴が長く、そしてその人格に心打たれリスペクトしている人なのだが、寄ってきてとてもよかったと言ってくれた。
うれしかった。この人はお世辞を言わないので言葉通り信じたらよい。
一歩前向きに心のどこかが動いた。機会をいただいたことに深く感謝。
最近のお茶ライフ
3/23,春、ひな祭りをテーマにした茶事①
4/5,地域の春の祭礼をテーマにした茶事②
どちらも勉強になった。
①は連客、特にお正客の博識ぶりとふるまいに圧倒された。男性であったが、着物で颯爽と来られ、羽織はひげ紬とおしゃれ。相客への心配りがさりげなくて温かでありがたかった。
ご亭主は大ベテラン。私よりひとつ年上なだけなのに。料理はセンスが感じられ、八寸の山のものはクチナシで染めた蝶々の形の鳴門金時。進肴のヌタも美味。ただ、テーブル席での懐石だったので、やりとり、所作はどうしても略式になる。ご自分で削られた茶杓を使われた。
干菓子は太宰府からお取り寄せの「清香殿」藤丸製。こんな上品で美味でうるわしいお菓子が九州にあるのだ。主菓子はお手製。きんとん。
備前焼のお茶入れを使われたが仕覆は紹鴎間道。しぶくてモダン。
後座の花は石化柳(セッカヤナギ)と白玉椿。
銅鑼の打ち方に感動。今までで一番風情があった。
②は2回目のおよばれ。こちらはご亭主のお道具ストーリーがおもしろく、入手法含めて個性的。とても懇意にしておられる骨董やさんとのコラボという感じがした。この方の工夫、アイデァには前も脱帽。躙り口をどうつくられたか---障子4枚で廊下と遮られているのだが3枚には上から下までの葦簀がつるされ、1枚は短い葦簀になっているのでそこが躙り口に見立てられているのだなと伝わる。
干菓子は御自製でツクシの砂糖煮。平たい黒の漆の干菓子器の下にツクシ、上にピンク色の桜の干菓子が花と花びらで散らしてある。一幅の絵になっている。
家の前を蒲団屋台が練りながら(激しくはない)過ぎていくそのお囃子と中立で窓から見下ろしながら祭りを楽しめる趣向になっている。
私も義姉とその友人を呼んでGWにお茶事をすることにした。少しずつ準備を進めている。
見れども見えず
二階の和室は下記のように炉が切ってある。
茶道口は右下。畳の敷方がまちがっている。畳表を変えるときに敷き直してくれと言ったが業者は床柱に合わせて微妙に厚さを変えているのでできないとことわり、あらがうことをせず、そうなのかと素直に引き下がって今に至る。
炉を切ったのはツレアイの姉孝行である。苦労した姉をいたわりたくて家を建てるときに姉が我が家を使って茶会をひらけるようにという思いで一階の八畳と二階の六畳に炉を切った。
ツレアイは茶は知らないが設計者にその希望を伝えて任せて、その結果がこれで、しかも二階は待合に使い、茶は点てなかったので義姉も気づかずに来たのだと思う。あるとき、義姉が「畳の敷方、まちがっているなぁ」と言った。私はそのときはお茶はまだ習っていなかったので、畳の表替えをするときに変えればいいかなぐらいに思った。
で、その機会にそう言ったのだが、そのときもまだ私はお茶を習い始めたものの本気ではなく、そうなのかぁ、残念、ぐらいにしか思わなかった。
そして昨日から二階で練習を始めて、やっと気づいたのである。この他にもおかしい点があることに。
炉畳の縁の位置がおかしいことに。赤で描いた部分に縁があるべきなのに、炉の右側にある。(上図左のコメントは畳の敷方がおかしいということを言っている。今の話題は赤の縁があるべきが右側にあるおかしさ。)
家を建てて24年になる。お茶を私が習い始めて12年になる。(といってもまじめにやり出してからは3年だが。)のにこんな基本的なことに今まで気がつかなかったなんて、ええ加減にもほどがある。
そして次の機会にするが一階の八畳にも茶室というには問題があるのである。